現在の活動内容
当講座は、主に以下の活動を行っております。
診療:大学病院の臨床検査センターの運営統括。当院遺伝診療室と
連携した、遺伝学的検査の運用。感染制御センターと連携し
た、院内や学内の感染対策に必要な検査の運用。地域の医療
施設や検査施設における検査精度管理の監督。
教育:大学医学部・看護学部・大学院における「検査医学」
「遺伝医学」「感染症」などに関する講義・実習。
研究:内分泌疾患を始めとする希少疾患の遺伝子検査。甲状腺腫の
遺伝学的原因の解明。甲状腺癌の診断マーカーの探 索。
甲状腺機能検査の標準化。新型コロナウイルス検査法。
当講座の成り立ち
当講座は、時代の変遷に従って名称を変更してきました。開学から30年近くは「臨床病理」(講座主任:山田 律爾 教授、1993年より 家入 蒼生夫 教授)でしたが、平成14年(2002年)には組織検体検査以外の主な臨床検査を扱う「臨床検査医学」と改名され、平成23年(2011年)には院内感染対策も担う「感染制御・臨床検査医学」(講座主任:菱沼 昭 教授)、そして今年度から、進歩の著しいゲノム医療への対応も兼ね「ゲノム診断・臨床検査医学」(講座主任:小飼 貴彦 教授)となりました。
当講座の得意とするところ
いま、究極の個別化医療として注目を浴びているゲノム医療ですが、その基礎にあるのは、遺伝子解析技術と情報科学の目覚ましい進歩です。現在、世界中で行われている解析の結果は日々データベースに蓄積されており、検査で同定された変異の病原性や、それをターゲットとする治療薬に関する情報も、診療のためのエビデンスとして利用可能となってきています。
当講座は、伝統的に内分泌分野の遺伝疾患の遺伝子検査を研究しており、本学の研究支援センターの次世代シーケンサーを管理しながら、家族性甲状腺腫症例の解析を行ってきました。本年度からは、今までの臨床研究の経験を生かして、大学病院でもゲノム解析ができるよう臨床検査センターの運用を整備し、他施設で解析できない遺伝子のゲノム解析も、院内からの依頼に応じて行っております。遺伝子検査では、新規変異が同定されることもしばしばですが、臨床所見や各種バイオインフォマティクスを参照の上、国際的なガイドラインにしたがって病原性を判断しています。
臨床検査センターを運営し病院の機能を支える検査は、現代の医療になくてはならないものになっていますが、検査法やデータ解析法が進歩しても、まず問題となるのは技術的なエラーです。検査業界では、定期的に「外部精度管理」を行い、第三者が品質をチェックすることが義務付けられています。当院の臨床検査センターは、日本医師会、日本臨床衛生検査技師会、栃木県臨床検査精度管理委員会などのサーベイ受検のほか、臨床検査室の国際認証 (ISO 15189) を取得し、定期的に第三者から評価を受けることで、検査の質を担保しています。さらに、遺伝子検査室と微生物検査室は、米国病理医協会 (CAP) が提供する精度管理評価プログラムにも定期的に参加しています。今後、関連学会での活動などを通して検査に関する精度管理システムをさらに整備し、より一層正確・確実と言える検査結果を皆様にご提供できるよう努力してまいります。